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2017年6月

世界が動く第一歩

日々緑が濃くなっている様に、自然の生命力を感じながら歩道を歩いていると、石垣の間から小さな雑草が飛び出すように生えている姿が目を引きました。その草は小さな黄色い花をつけ、バランスよく石と石の間から出て、まるでオブジェのよう。その姿は、人の手では作れない、絶妙な美しさでした。自然の完璧さを感じ、それを楽しんでいる私の心には喜びが広がりました。

 

 

先日、引きこもりの男性が彼の両親を殺害した事件の具体的な経緯が新聞の連載記事にありました。

8回に渡るその連載記事を要約すると・・

その男性は、16歳の時のちょっとした出来事から20年間引きこもり、犯行時は36歳。

母親が脳梗塞で倒れ、寝たきり生活になってしまい、父親は介護のために退職、年金暮らしとなった。ある時父親にガンが見つかり、両親ともにどんどん衰弱していく状態だった。年金では足りなくなって借金が膨らんで来ていた事実を知ったその男性は20年ぶりに外出をし、親戚の家へ。そこでお金を工面してもらおうとお願いしたが「うちでは無理。市役所に相談しなさい」と追い返されてしまった。

途方に暮れながら家に帰り、脳梗塞の後遺症で言葉がうまく出ない母親からメモを渡された。

「迷惑かけてごめんなさい。死ねるものなら死にたい」

そのメモを見た時、どうしてあげることもできない不甲斐ない自分と将来に絶望して、殺害の決心をした。

そして、その夜父親と母親を殺害し、自分も薬を飲んで自殺を図ったが、死ねなかった。

この事件後、引きこもりの子どもを持つ家族や支援団体など、全国から減刑の嘆願書が集まった。

 

この連載を読んだ時、胸が締め付けられる思いでした。

引きこもりの人が自力で外出するにはかなりの勇気が必要です。自分でも出たくても出られなくて苦しんでいることがほとんどなのです。

この事件当初はまだ“引きこもり”という言葉がなかった頃のこと。世間の目は、「なぜ、いい歳して働かないのか」「両親が甘すぎる」などと批判が強かった時代でした。このような批判がこの家族をここまで追い込んでしまったのかもしれません。

 

そして、私たちはこれと同じような質の批判を心の中でもしているのではないでしょうか。

例えば・・

・うつの人に対して、“自分に甘いんじゃないか” “自分と向き合っていないんじゃないか” など、その人への批判。

・不登校の子どもに対して、“怠けているんじゃないか” “ただのわがままなんじゃないか” “親が甘いんじゃないか”という子どもと親に対する批判。

・浮浪者や生活保護受給者に対して、“自ら社会に出ようとしていないんじゃないか” “国のお金をあてにしているんじゃないか” “遊んで暮らしているんじゃないか”などの生活態度に対する批判。

・休みがちな同僚に「休んでばかりでずるい」とか「こうあるべき」などの損得の批判と「自分の体調管理もできないでどうするんだ」というそれに対する批判の正当化。

・仕事の要領が悪い同僚・部下に「給料泥棒だ」「サボってる」「一生懸命やってないんじゃないか」などのその人への批判と自分の損得からの不満と批判。

 

 

以前、スイスでベーシックインカムという、国民全員に一定の所得が保証される制度の導入の是非を問うために国民投票をしたところ、否決された出来事がありました。その時、「ベーシックインカムにしてしまうと、サボって働かなくなる人が増えるのではないか」という懸念の声が多かったとのことです。

 

このスイスのことも、引きこもりの人に対する批判も同じ質と言えるのではないでしょうか。

ベーシックインカム(基本所得保証)があれば、生活の心配がなく自分の好きなことができる、素晴らしい制度と言えますが、“好きなこと”が“仕事に見えること”だったら良いのですが、“遊びに見えること”だと、そのことへの批評・不満の感情が出て来るのでしょう。

「ずるい」とか「働かないのは良くない」という損得の感情や“こうあるべき”という概念から湧いてくる感情です。

 

このような相対的感情論からの批判が世の中に溢れているのではないでしょうか。

そして、私たち一人一人の日常の生活の中にも、この感情からの批判は出てきます。

だからこそ、その感情と批判の思考を観て、「私は今、どうであるのか?」に気づいていることが大切です。

自分の感情と批判の思考を正当化する“私”が出てくるかもしれません。

その感情と批判の思考を言いたい・発散したい“私”が出てくるかもしれません。

 

その“私”は、自分のことが大切、自分さえ良ければいい、自分を正当化したい・・という、とても器の小さなケチな自分なのです。

その小さな自分を私たちは誰しも持っています。

大切なのは、“小さな私”が出てきたことを認識することです。

 

 

世界が平和であることを望む私たち。

でも実際は、つい誰かを批判したり、自動的に自分の損得で心が動く、そんな私たちではないでしょうか。

 

2015年の国連サミットで、17の目標からなる「グローバル・ゴールズ:持続可能な開発目標(SDGs」が採択され、2016年より実施が始まっています。

 

世界は平和へと動き出しているのです!

 

この動きを加速させるのは、私たち一人一人のあり方です。

“今、わたしはどうであるのか?”

それをありのままに観察することが、世界平和の第一歩なのだと信じています。


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