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“大人さ”とは?

先日読んでいた本の中に、一千万倍率まで拡大できる器材で植物の研究をし、その結果が書かれていました。

『植物にも外部からの刺激に対して、喜びや怒りなどの感情がある。シダの葉を刃物で切りつけるとけいれん発作を起こして苦痛を現し、やがて静止して最後に死を示す。』

この文章を読んだ後、カラカラに乾いた私の家の植木に水をあげながら、思わず「ごめんね」と声を掛けた私でした。

 

 

子育ては、大人がいろいろと試される機会です。子ども達の突拍子もない行動、大人の思い通りにはならない、きちんとしていて欲しい時に限ってなにかを仕出かす…。その度に、“大人がどれだけ大人であるか?”が試されます。

 

先日、2人の息子(4歳と小1)がいるお父さんからある質問を受けました。

「うちの子たち、全然言うこと聞かないんだけど、どうしたら言うこと聞くようになるの?」

何があったのか、よく聞いてみると、

・デパートのエスカレーターを走り、人に迷惑をかける。

・おもちゃ屋に行くと、なかなか帰らない。

・レストランでは行儀が悪く、みっともない。

などなど・・・

同じように手を焼いている人も多いのではないでしょうか。

保育園や幼稚園で例えると、

・公共の場所(公園など)で園児が他の親子を押しのけて遊んでしまう。

・自由遊びの時間が終わり、呼びかけてもなかなか片付けをしない。

・食事中、おしゃべりばかりでなかなか進まない。

などなど・・

家庭での子育ても、保育園・幼稚園での生活でも、同じような悩みはつき物です。

 

先ほどのお父さんに、そういう時はどうしているかを聞くと

『走ったらダメ!他の人に迷惑でしょ!』

『早く帰らないとご飯の時間になっちゃうから帰るよ!』

『そんな食べ方をしてると大人になってから恥ずかしいのは君だよ!』

と、大きな声で怒っている。でも全然言うことをきかなくて困っている…とのことでした。

 

子どもに言うことをきかせたいと思えば思うほど、“聞かせる”ために、声が大きくなります。言葉(説明)も多くなります。

でも、そうすればそうするほど、子どもは聞かなくなるものです。

 

子どもには防衛本能があり、大きな音や不快になるような会話、特に夫婦喧嘩などの時には、何かに没頭したり、寝てしまったりして外部の音をシャットアウトします。

例えば、夫婦喧嘩をしている目の前で子どもがお絵描きに没頭している…という場面では、子ども自身が聞きたくないことを自動的にシャットアウトして、自分を守っている状態のことがよくあります。

 

 

「大きくなってから困るよ」「人に迷惑なんだよ」「もう時間だから…」などの説明をいくら並べても、子どもには届きません。

大きな声で怒鳴っても、子どもの耳には入りません。

以前『言葉のエネルギーについて書きましたが、言葉は“意味”と“音”に分かれます。

“意味”をどんなに並べても、その言葉の“質”が「言うことをきかせる」というものなら、子どもには「言うことをきかされる」と届きます。

どんなに大きな声(音)で怒鳴っても、その声は耳に届いていない事が多々あります。

 

保育園のお昼寝時に、こんな経験があります。

もう寝ている子どもがいて、静かにしなければならない時に、まだ起きている子ども達が興奮状態になって大はしゃぎしている…ということが何度かありました。

その時の自分の状態が「早く寝かせなければ」「静かにさせなければ」という時は、何を言っても言葉が全く子どもに届きません。

一方で、自分が落ち着いていて、飛び跳ねている子ども達を目の前にしても、それを冷静に見られる状態の時は、

『もう寝ようね』

と静かに言うだけで、その場がすーっと静まってきて子どもが自然と寝てしまいます。

こういう時の『もう寝ようね』という言葉の中には、「安心を与える」という“質”と、ストレートに子どもに響く“音”が含まれているのです。

 

 

自分が言いたい事だけを言っている時…何か理由を並べたり、説明をしたり、心配事を言ったりしている時ほど、人には伝わりません。

自分が伝えたい質(愛・平和・安定など)がはっきりしている時…何かしてほしいこと、こうしたいというはっきりとしたビジョンを持っている時、人にはその“質”が伝わるのです。

 

子どもに限らず、人に何かを伝える時に大切なことは、シンプルな言葉です。

そこに“意味”と“音”が乗った時に、その伝えたいことの“本質”が伝わります。

 

人は往々にして、自分の本心を隠しながら生きています。

“人に迷惑をかけることを恐れながら子どもを叱っている”

“本当はこのことには賛成ではないけれど、園の方針だから言わなければならない”

子どもには本心が伝わりやすいものです。

そして、本心を隠しているということは、自分にも嘘をついている状態でもあります。

 

「迷惑をかけたくないって思っているんだな・・私」

「イヤイヤ言っているんだな・・私」

このように、“今”自分の中にある本心を知っている。認識している。ということが大切です。

そして、叱るのか叱らないのか。言うのか言わないのか。やるのかやらないのか。という選択をするだけです。

もし、叱ることを選んだとしても、きっと子ども達には伝えたいポイントは伝わることでしょう。

これは、自分に言い聞かせながら嫌なことをする、ということとは違います。

 

私はよく子ども達にこんな風に言っていました。

「私ももう少し遊びたいんだけどね・・もう帰る時間になっちゃったんだよ。」と、胸の内を明かしていました。

すると、子ども達は

「しょうがないね。じゃ、かえろうか」

となるものでした。

 

上から目線ではなく、同じ立場の人として言葉を発する…というのは、子どもと心が通じ合う瞬間でもあります。

上から目線ではないけれど、このやり取りに責任を持てる“大人である”というあり方が必要です。

 

 

最近の虐待の事件などを見ていると、大人が子どもよりも“子どもである”ように感じられます。

子育ては、大人が「“大人である”とはどういうことなのか?」

ということを問う機会なのだと思います。

 

保育士・幼稚園教諭という仕事は“大人さ”が求められます。

父親になる・母親になる・・ということは、日常生活の中で“大人さ”が求められているのです。




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