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2015年11月

“感情”を感じる

すっかり秋が深くなり、樹々の葉が色づいてきました。ベランダの花ももう終わりかと思っていたところ、朝顔が最後の力を振り絞るかのように、いくつもの花をつけ始めました。黄色い葉が増えている中、その朝顔の薄紫色の花がきれいに映えて、私を楽しませてくれています。

 

先日、公園で自転車に乗った5才くらいの男の子が、バランスを崩して転び、顔を地面に打ちつける瞬間を見ました。その子は大泣きしながら、口の辺りを押さえて、家族のところへ駆け寄っていきました。

私は「痛そうだなぁ・・口の中が切れたかもしれないな」と思いながらその様子を見ていました。

その子のお父さんは、慌てる様子もなく、それほど心配している様子もなく、その子に「どうして転んだの?滑ったの?」と、痛がっている口のことではなく、どうやって転んだのかを説明させようとしていました。

 

このように大人は、転んだ子どもに対して「大丈夫。痛くないよ。」とか「ほら〜走るから転ぶんだよ」などと、子どもが転んで打った場所の痛みを感じることを止めてしまうのではないでしょうか。

痛みがすぐに治るおまじないのように、「痛くない、痛くない。ほら、もう治っちゃったよ」と言うことは、痛みを和らげたいという親心から出ているかもしれませんが、そこで「痛かったね〜」と痛みを共有してあげてください。

“痛い”“怖い”“悲しい”“悔しい”などの子どものネガティブな感情を押さえ込むことなく、その感情をただ「痛かったねぇ」「怖かったね」…と、充分に感じさせ、そのことを受け取るような姿勢であることが大切なのです。

 

先の自転車で転んだ子の場合、お父さんがその子に痛いという感情を感じさせることなく、『どうして転んでしまったのか』を頭で考えるようにさせています。

これでは、“痛い”“怖い”などの感情の行き場がなくなり、頭で考え「何かが悪かったのかもしれない」という出来事になってしまいます。このことで「転ぶことは悪い事」という解釈になります。

人は様々な経験を通して成長します。

転ぶこと・失敗することも成長のプロセスには必要な出来事です。失敗は悪い事ではありません。その失敗の出来事に「何かが悪い」という意味がつき、自信を持って失敗することすら出来なくなり、新しい可能性を生む元を消してしまうことになるかもしれないのです。

 

この「“感情”を感じさせない」ということは、大人自身もやりがちです。

何かに対して“怒り”があっても、それを「怒ってはいけない」と封じ込めてしまう。

何か“悲しみ”があっても、「いつまでも悲しんではいけない」と充分に感じることをせず、何かでごまかしてしまう。

何かの出来事で“悔しい”と感じても、それを「こんなこと思ってはいけない」と、その気持ちにフタをしてしまう。

 

このように、“感情”を感じつくすことをせずに、自分の中に溜め込んでしまうことがあります。昔の人は、感情を出す・感じるということは“いけない”としていました。その名残で、感情にフタをしている私たちなのです。すると、そのフタをした感情は長引き、「あの時、私が我慢したから・・」「あの時、私は辛かったけどこうしたのよ・・」と、いつまでも後悔したり、同じ様な場面でまた感情を溜め込んだりします。そして、似た様な体験をしている人を見ると、自分が重なって、フタをした感情が再活性したりするのです。

 

「今、この瞬間の自分の感情を大切にすること。」

それが、自分の存在を認める第一歩です。

『こんな自分はだめだ』とか『こんなことを考えてしまう自分はだめだ』という風に、自分のことを自分で苦しめてしまっている人がいます。

その自分を受け入れられないから、子どもの中に自分と似た様なものを感じると、『これではだめだ』と否定します。

自分の中の嫌な部分を、子どもだけでなくパートナーや同僚・上司・親などの相手の中に見る時、それが受け入れられなくなるのです。

 

今まで書いたブログの中で、

「今、私は怖いと思っているなぁ」

「今、私はイライラしているなぁ」

と、“今、この瞬間の自分の感情を俯瞰して観る”・・ということを書いてきました。

このことと、“自分の感情を感じないようにする”というのは、大きく違います。

自分の感情を感じないようにしているのは、そこにある感情にフタをして見えないようにしているだけなのです。

例えば、子どもがこっそり食べたお菓子の残りを、見つからないように机の奥に隠していたら、ある日異臭がして、取り出すと腐ったお菓子が出て来た…

という様に、隠していても、いつか臭ってきてしまう物なのです!

 

“今、この瞬間の自分の感情を感じて、知っている”そして、その感情を俯瞰して観ている・・という状態だと、自分の感情にも正直に、誠実である状態です。

自分の感情を感じ、様々な感情を体験することが、豊かな心を作るのです。

様々な感情の体験がそれぞれのユニークさ、良さ、味となって、この世に一人きりの特別な存在となり、そのことに歓びがあるのではないでしょうか。

 

この地球上には、特別な存在として約70億人の人がいます。

 

70億通りの人が、特別な存在として生きる世界は、奇跡に満ちあふれている世界なのではないでしょうか。


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