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信頼と肯定的な世界

家の近くに、立派なハルサザンカの木があります。

この木は毎年、ぱっと開いた大きなピンク色の花をたくさん咲かせています。ハルサザンカはハラハラと花びらを散らす花ではないので、ピンクの花がボトボトとそのまま下にたくさん落ちています。

ある日、木に咲いていた花も落ちていた花もひとつ残らず、きれいに片付けられていました。もう終わりかと残念に思って近づくと、まだ大きなつぼみをたくさんつけていました。そして数日後それらのつぼみが、大きく開きピンクの花がたくさん咲いていました。

良く手入れをされているこのハルサザンカの木は、こうして何度も花を咲かせて、楽しませてくれているんだなと思いました。

保育現場で多くの子どもを見ていると、その家庭環境や親のあり方によって、子どもの育ち方が大きく違うことをしみじみ感じます。

伸び伸びしている子。

大きな声、大きな仕草で注目を集める子。

大人しいけれど、周りの様子をよく見ている子。

などなど・・十人十色です。

今は多様性の時代と言われていますが、子どもの育ちにもその多様性を生かした関わりが大切なのだと感じています。

以前、本当に心も体も伸び伸びと育っている、“子どもらしい子ども”という感じの子がいました。

楽しいときは大きな声で笑い、嫌なことがあったときは大声で怒り、泣き、身体的にも活発で走り回ったり、ジャンプしたり、子犬のようにコロコロと動き回っている様な子で、良く食べ、良く寝て、良く遊ぶ…そんな子どもの見本のような子でした。

そして健康でほとんど病気をしない、共働きの親にとってはありがたい子でした。

同じように過ごしていても、しょっちゅう風邪をひく子とひかない子、何が違うのかと思っていた時、かかりつけの歯科医の話で納得したことがありました。それは、歯並びです。噛み合わせが良いと、鼻呼吸が楽になり、風邪をひきにくくなるということでした。普通は、食べる時だけ上の歯と下の歯が噛み合わさり、それ以外は上の歯と下の歯は離れている状態なのだそうですが、最近、普段からいつも噛み締めている人が多いことが明らかにされ、注目されつつあるそうです。その噛み締めが虫歯の原因だということなのです。必死に歯磨きをしようと、毎晩子どもとバトルのお母さんにとっては朗報ですね。

そして、噛み合わせは、遺伝もありますが、姿勢によって変わるようです。猫背だったり、首だけ前に出ていたり…することで、歯の噛み締めが起こるということでした。要は、全身の骨格とも関係して来るのです。

歯科的な観点での対応もあるようですが、私はこのことが子どもの成長そのものと関係があると思いました。

噛み締めている瞬間ってどんな時でしょうか?

ギュッと手に力を入れている時、緊張している時、頑張っている時…など、心にも体にも力が入っている時です。

普段から歯を食いしばっている人は多いのではないでしょうか。

“がんばり屋さん”ほど、歯を食いしばっている事が多いのではないかと思います。

いつもいつも頑張っている人は、もしかしたら、歯を食いしばっていない時の方が少ないのではないでしょうか?

さっきの伸び伸びした子は、言われてみると歯並びがとってもいいのです。そして、鼻呼吸です。鼻水はいつも出ていますが、鼻呼吸なので気になって自分で鼻を拭くようにもなります。

少し前の新聞記事に「鼻をかめるようになる練習法」が出ていましたが、鼻呼吸をしている子は、自然に鼻をかめるようになるのです。

そして、人間が本来の持っている機能をきちんと使えていれば、滅多に風邪もひかず、健康でいられます。健康でいることは、エネルギーのロスも少なく、精神的にも安定して過ごせるのです。だから“伸び伸びした子”に育ちます。

その子の親はどういう風かというと、初めての子どもで今までに子どもと接する機会もなく、知識もあまりない…けど、「子どもって面白いねぇ」と楽しんでいるのです。子どもがいたずらをしても、「あぁ、そっかそっか、こんな風にするんだね」という具合に、いたずらをしていることすら面白がっているという様子です。

『子どもが育つように育てている』というあり方なのです。

何かを子どもに頑張らせたり、無理に何かをやらせたりという事ではなく、子どもが感じる事を受け止め、子どものやりたい事を聞き、そして親自身もきちんと「今何をしようとしているのか」を伝え、子どもにも受け入れてもらいながら、子どもを受け入れているといった関係なのです。

こうした子育てだと、大人も子どもも歯を食いしばることもなく、無理な力をかけることもなく、自然な成長があるのでしょう。

大人の関わり方と、子どもの心と体の成長は相関するのです。

『子どもが育つように育てる』という根底には、元々子どもにある育つ力を『信じている』という“信頼”があります。

その“信頼”が土台にあるからこそ、子どもは安心して、伸び伸びと自分を表現します。

“信頼”が土台であるということが、“肯定的”な世界です。

どんないたずらした子どもも“肯定的”に受け入れるということなのです。

NO」と言う場面ももちろん必要です。その言葉も、“信頼”と“肯定”の世界で伝えれば、子どもには自分の存在を否定された「NO」には聞こえないのです。

「いつも信じられている」「自分の存在が認められている」という安心感は、子どもを自由にさせます。

大人の顔色を見ながら何かを判断するのではなく、自分の感情や考えを信じることができます。

子どもが伸び伸びと育つということは、“信頼”と“肯定的”な世界が土台なのではないでしょうか。

 

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